健診で貧血ではないのに疲れやすいのはなぜ?“貯蔵鉄”だけが減っている可能性
血液検査でヘモグロビンは正常なのに、なぜか疲れが抜けない。実は貧血の一歩手前、体内の“鉄の貯金”であるフェリチンだけが先に減っていることがあり、それが疲労として現れている可能性があります。
- 1ヘモグロビンが正常でも、体内の貯蔵鉄(フェリチン)だけが先に減り、疲労として現れることがある。
- 2月経のある女性や、食後にお茶・コーヒーを飲む習慣がある人は鉄の吸収が妨げられやすい。
- 3貯蔵鉄が少ない人への鉄補給で、疲労感が有意に改善したという臨床試験の報告がある。
ヘモグロビンが正常でも、体内の貯蔵鉄(フェリチン)だけが先に減り、疲労として現れることがある。月経のある女性やお茶をよく飲む人は特に見落としやすい。
「貧血ではない」は「鉄が足りている」ではない
健康診断の血液検査で見るのは主にヘモグロビン濃度で、これが基準値内であれば「貧血なし」と判定されます。しかし体内の鉄は、血液中で使われる分だけでなく、フェリチンというタンパク質に結合した“貯蔵鉄”としても蓄えられています。ヘモグロビンが下がるのは、この貯蔵鉄を使い切ったあと、いわば“鉄の貯金”が底をついてからです。つまりフェリチンだけが低下している段階では、血液検査の基本項目では異常が出ないまま、体は先に疲労という形でサインを出している可能性があります。
なぜ疲労として現れるのか
鉄は赤血球の酸素運搬だけでなく、細胞内でエネルギーを作り出す酵素の働きにも関わっています。Vaucherらの研究では、貧血には至らないもののフェリチン値が低い月経のある女性に鉄剤を投与したところ、プラセボ群と比べて自覚的な疲労感が有意に改善したことが報告されています。この結果は、ヘモグロビンの数値だけでは見えない“鉄不足による疲労”が実際に存在することを示しています。
見落とされる理由:食後の一杯が吸収を妨げている
鉄が不足しがちな理由は摂取量だけではありません。食事に含まれるタンニンという成分が鉄の吸収を妨げることが知られています。Dislerらの研究では、食事と一緒に紅茶を飲むと、鉄の吸収率が大きく低下することが確認されました。緑茶やコーヒーにも同様の成分が含まれるため、「食後にお茶で一服」という習慣自体が、知らないうちに鉄不足を助長している可能性があります。
- 月経のある女性、成長期、妊娠中の人は鉄の必要量が多い
- 食事中・食後すぐの緑茶・紅茶・コーヒーは鉄の吸収を妨げやすい
- 赤身肉・レバーを避けがちな食生活は鉄摂取量そのものが少なくなりやすい
- 運動量が多い人は汗や微小な出血で鉄の消耗が増える
今日からできる対策
- 1食事中・食後30分はお茶・コーヒーを控えるタンニンによる鉄吸収阻害を避けるため、緑茶やコーヒーは食間に時間をずらして飲むようにします。
- 2赤身肉・魚・レバーを週に数回意識して取り入れる動物性の鉄(ヘム鉄)は植物性より吸収率が高いとされています。難しい場合はレバーペーストなど手軽な形でも構いません。
- 3ビタミンCを含む食品を鉄分と一緒に摂る柑橘類やブロッコリーなどビタミンCを含む食品は、植物性の鉄の吸収を助けるとされています。
- 4気になる場合はフェリチン値を測ってもらう一般的な健診項目に含まれないことが多いため、疲労が続く場合は医療機関でフェリチンの測定を相談してみてください。
対策に役立つアイテムの目安
食事だけで補いにくい鉄分を手軽に補給できます。過剰摂取を避け、パッケージの目安量を守ることが前提です。
食後の一杯をお茶からルイボスティーなどタンニンの少ない飲み物に置き換える選択肢になります。
価格はいずれも目安。特定商品を推奨するものではなく、提携先が決まり次第リンクを設置します。
受診を検討したいケース
よくある質問
Q自己判断で鉄サプリを飲み続けても大丈夫ですか?
鉄は過剰摂取すると体に負担がかかる可能性があるため、長期間の自己判断での大量摂取は避け、目安量を守ることが前提です。疲労が強く続く場合は、自己対処だけに頼らず医療機関でフェリチン値や他の原因を確認してもらうことをおすすめします。
Q男性でも貯蔵鉄不足は起こりますか?
月経による喪失がない分、女性ほど頻度は高くありませんが、偏った食生活や激しい運動習慣がある場合は男性でも起こり得ます。
Q疲労以外にどんな症状が出ますか?
だるさのほか、集中力の低下、動悸、爪がもろくなる、氷を無性に食べたくなるなどのサインが報告されることがあります。気になる症状が重なる場合は受診を検討してください。
本記事の内容は一般的な情報提供であり、医学的診断ではありません。症状が強い・長引く場合は医療機関へご相談ください。