立ち上がるとめまいがするのはなぜ?“血が足に溜まる”を3秒で止める方法
デスクから立った瞬間、目の前が暗くなる・クラッとする。貧血と決めつける前に、座りっぱなしで脚に溜まった血液と、水分・塩分の“量”を疑ってください。
- 1立った瞬間に脚へ0.5〜1L近い血液が一気に移動し、脳への血流が数秒〜十数秒だけ足りなくなる「初期起立性低血圧」が若い人にも多い。
- 2座りっぱなし・水分不足・塩分控えめ・食後は、この“落ち込み”を深くする。
- 3立つ前にふくらはぎを10回動かす/脚をクロスして力む/水を500mL飲む——の3つで、その場で防げる。
立ち上がった瞬間に起きていること
座った状態から立つと、重力で血液が下半身(脚・腹部)に移動します。健康な人でも心臓に戻る血液が一時的に減り、血圧が数秒下がります。通常は自律神経が即座に血管を締めて補正しますが、補正が間に合わないと脳への血流が一瞬不足し、目の前が暗くなる・クラッとする・耳が遠くなる、という症状が出ます。
立って15秒以内に血圧が一時的に大きく下がり、すぐ回復するタイプは「初期起立性低血圧(initial orthostatic hypotension)」と呼ばれ、若年者の失神前症状の代表的な原因として報告されています。立ってから3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上下がった状態が続く「起立性低血圧」とは区別されます。
「貧血かも」「疲れてるから」ではなく、脚に溜まった血液量と、体の中の水分・塩分量という“物理量”の問題です。だから、その場で物理的に対処できます。
落ち込みを深くしている4つの条件
| 条件 | 何が起きるか | 心当たりチェック |
|---|---|---|
| 60分以上の座りっぱなし | ふくらはぎの筋ポンプが止まり、脚の静脈に血液がプールされる | 会議・作業の後にクラッとする |
| 水分不足 | 血液量そのものが減り、血圧を保てない | 午前中に水をほぼ飲んでいない/コーヒーだけ |
| 塩分を控えすぎ | 体液量が減り、起立時に血圧が維持しにくい | 減塩を意識している・汗をよくかく |
| 食後30〜90分 | 消化のため血液が腹部に集まる(食後低血圧) | 昼食後に立つとフラつく |
その場で効く3つの物理的対策
- 1立つ前に“ふくらはぎポンプ”10回座ったまま、かかとを上げ下げ/つま先を上げ下げを各10回。ふくらはぎの筋肉が脚の血液を心臓へ押し戻す。立つ前の5秒でできる。
- 2クラッと来たら脚をクロスして全身に力を入れる脚を交差させ、太もも・お尻・腹筋に力を入れて10〜30秒。失神予防の標準的な手技(physical counterpressure maneuver)で、下半身の血液を中枢に戻す効果がランダム化試験で示されている。
- 3水を500mL、一気に飲む常温の水500mLを数分で飲むと、15〜30分後に起立耐性が改善することが健常者で報告されている。朝一番・長時間会議の前に。
「めまいがしたら座ってじっとする」だけでは次も起きる。座ったまま脚を動かさない=血液のプールを放置している状態。立つ前に動かす、が正解。
こんな場合は受診を
- 実際に意識を失ったことがある/転倒した
- 動悸・胸痛・息切れを伴う
- 降圧薬・利尿薬・前立腺の薬・抗うつ薬などを飲み始めてから起きる
- 水分・塩分を十分とっても、立って3分以上めまいが続く
上記に当てはまる場合は自己対処で済ませず、内科・循環器内科で起立試験(寝た状態と立った状態の血圧測定)を受けてください。ここで書いた対策は“健康な人の一過性の立ちくらみ”を対象にしています。
立ちくらみ対策に使えるアイテム3選
脚の静脈に血液が溜まるのを物理的に抑える。立ち仕事・長時間会議の日に。
“飲んだつもり”を防ぐ。午前中に1本空ける、のルール化がしやすい。
座位→立位で血圧がどれだけ落ちるかを自宅で測れる。受診時の材料にもなる。
価格はいずれも目安。特定商品を推奨するものではなく、提携先が決まり次第リンクを設置します。
よくある質問
Q貧血との見分け方は?
立ちくらみが“立った瞬間だけ”で数秒で収まるなら血圧調節の問題が疑われます。貧血は階段や運動で息切れ・動悸が続く、爪が白っぽい、などが手がかり。血液検査(ヘモグロビン・フェリチン)で確認できます。
Q塩分はどれくらい増やせばいい?
高血圧や腎臓病がなく、汗を多くかく人なら、朝食に味噌汁1杯を足す程度から。高血圧の人や持病がある人は医師に相談してください。
- [1]Wieling W, et al. Initial orthostatic hypotension: review of a forgotten condition. Clin Sci (Lond). 2007
- [2]Freeman R, et al. Consensus statement on the definition of orthostatic hypotension, neurally mediated syncope and the postural tachycardia syndrome. Clin Auton Res. 2011
- [3]van Dijk N, et al. Effectiveness of physical counterpressure maneuvers in preventing vasovagal syncope: the PC-Trial. J Am Coll Cardiol. 2006
- [4]Schroeder C, et al. Water drinking acutely improves orthostatic tolerance in healthy subjects. Circulation. 2002
- [5]Jansen RW, Lipsitz LA. Postprandial hypotension: epidemiology, pathophysiology, and clinical management. Ann Intern Med. 1995
本記事の内容は一般的な情報提供であり、医学的診断ではありません。症状が強い・長引く場合は医療機関へご相談ください。